「ハリー・ポッター」シリーズの終盤、ヴォルデモートを倒すためのキーアイテムとなった「分霊箱」
最も邪悪な魔術として知られており、ホグワーツの図書館にも分霊箱に関する本はほとんどありませんでした。
分霊箱とは?そしてヴォルデモートが作った分霊箱について解説していきます。
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分霊箱とは
「分霊箱(ホークラックス )」とは、魔法界の中で最も邪悪な闇の魔術です。
人間の魂を分断し、分断した魂を閉じ込めた物体や生物のことを分霊箱と呼びます。
分霊箱の役割は、本体の魔法使いの肉体が滅びた際に魂を現世に繋ぎ止めることです。
そのために分霊箱を作った魔法使いは、不死に近い存在になります。
しかし、分霊箱が最も邪悪な闇の魔術と呼ばれている所以はその作り方です。
「殺人を犯した際に魂が引き裂かれる」という現象を利用し、引き裂かれた魂を特定の物体に閉じ込めることによって分霊箱が完成します。
自身が不死に近づくためだけに人を殺める、という非人道的な魔術です。
また分霊箱が存在する限りは、作成した者は魂のみの姿で現世に留まることが出来ますが、この状態では存在を保つだけで全身全霊の魔力と意思が必要になります。
分霊箱を作成したことが確認されているのは発明者である「腐ったハーポ」というギリシャの魔法使いと、ヴォルデモート卿のみです。
ちなみに腐ったハーポはバジリスクを生み出した闇の魔法使いとしても知られています。
分霊箱を破壊する方法
分霊箱は高い耐久力・修復力を誇り、並大抵の攻撃であれば破壊されることはありません。
分霊箱を破壊するには、修復力を上回るほどの破壊力を持った魔法物質を用いる必要があります。
ここでは劇中に登場した分霊箱を破壊することができるものを紹介します。
バジリスクの毒牙
分霊箱を破壊できる物質の一つ目は「バジリスクの毒牙」です。
バジリスクとは「ハリー・ポッターと秘密の部屋」で登場した毒蛇の王とも呼ばれる大蛇で、ホグワーツ内の「秘密の部屋」に生息していました。
バジリスクの毒は「不死鳥」が流す癒しの涙でしか解毒できないほど強力であり、その毒は分霊箱すら破壊してしまいます。
グリフィンドールの剣
二つ目は「グリフィンドールの剣」になります。
グリフィンドールの剣とは、ホグワーツ創始者の1人である「ゴドリック・グリフィンドール」の遺品で、ゴブリン製の剣です。
計り知れない勇気も持った「真のグリフィンドール生」のみが「組分け帽子」から取り出すことが可能で、ホグワーツ創始者の遺品を集めていたヴォルデモート卿もグリフィンドールの剣だけは手に入れることは出来ませんでした。
グリフィンドールの剣をはじめとするゴブリン製の刀剣・甲冑は、汚れなどを寄せつけず、自らを強化するもののみを吸収する特徴を持っています。
ハリーが前述したバジリスクに剣を突き刺した際、グリフィンドールの剣はバジリスクの毒を吸収しました。
よってグリフィンドールの剣も分霊箱を破壊できるようになっています。

悪霊の火
「悪霊の火」は闇の魔術の一つであり、周りの物を全て燃やし尽くすほどの火力を持つ炎です。
危険な魔法として知られており、未熟ながらも使用したビンセント・クラッブは制御することが出来ずに自滅しました。
その分破壊力は際立っており、強力な耐久力を持つ分霊箱すら破壊することが出来ます。
ニワトコの杖
「ニワトコの杖」は、ペペレル三兄弟の長男であるアンチオク・ペベレルが作成した杖です。
「死の秘宝」の一つとして数えられており、通常の杖を遥かに凌ぐ魔力を秘めています。
この杖から放たれる「死の呪い」は、劇中でヴォルデモートの魂を破壊しました。
ただし、生物以外の分霊箱に効果があるかは不明です。
ヴォルデモート卿の分霊箱一覧
ヴォルデモートは異常に死を恐れており、不死を目指していました。
そこで目をつけたのが分霊箱です。
しかも、魔法界で一番強い魔法数字と考えられていた7つに魂を引き裂くことを思いつきます。
ヴォルデモートの本体にも魂は宿っているため、自身と6つの分霊箱を作成することを計画しました。
またヴォルデモートは幼少の頃から収集癖があり、魔法界の歴史に残る貴重な品に強い興味関心を抱いていました。
ここではそれぞれの分霊箱について紹介します。
トム・リドルの日記

名前 | トム・リドルの日記 |
犠牲者 | マートル・エリザベス・ワレン |
制作年 | 1943年 |
破壊者 | ハリー・ポッター |
「トム・リドルの日記」はヴォルデモートが初めて作成した分霊箱で、ホグワーツ5年目である16歳の際に作られました。
ヴォルデモートは5年生時に、サラザール・スリザリンが後世の継承者のためにホグワーツに残した「秘密の部屋」とバジリスクを発見します。
バジリスクを使ってマグル生まれの学生を襲撃しましたが、この事件によってホグワーツが閉鎖されそうになりました。
ホグワーツが閉鎖されるとマグルの孤児院に帰らなければならなくなるヴォルデモートは、ルビウス・ハグリッドと大蜘蛛のアラゴグを犯人に仕立て上げて、事件を解決したことにします。
しかしヴォルデモートはマグル生まれの追放を諦めておらず、後に再度秘密の部屋を開けられるよう、バジリスクを使ってマートル・エリザベス・ワレン(嘆きのマートル)を殺害した際に、日記に自身の記憶と魂を閉じ込めました。
後にヴォルデモートはこの日記を死喰い人であるルシウス・マルフォイに預けていましたが、そのままハリーの殺害に失敗して失墜します。
ルシウスはこの日記を使って仇であるアーサー・ウィーズリーを貶めようと、娘のジニー・ウィーズリーの学用品に紛れ込ませました。
結果、ジニーはヴォルデモートの魂に体を乗っ取られますが、ハリーが解決します。
この際、ハリーがバジリスクの毒牙で日記を貫いたことで、分霊箱としても破壊されました。
ちなみにダンブルドアはこの日記が分霊箱であることを見抜き、さらに通常大切に保管されるべき分霊箱が攻撃的な使い方をされていたことから、他にも複数分霊箱を作成している可能性に気付きます。
ゴーント家の指輪

名前 | ゴーント家の指輪 |
犠牲者 | トム・リドル・シニア |
作成年 | 1943年 |
破壊者 | アルバス・ダンブルドア |
「ゴーント家の指輪」は、サラザール・スリザリンの末裔であり、ヴォルデモートを生んだゴーント家に代々受け継がれてきた指輪です。
ゴーント家はさらに遡ると、「死の秘宝」を作ったペペレル三兄弟に繋がります。
そのために、ゴーント家に受け継がれてきた指輪には死の秘宝の一つである「蘇りの石」が埋め込まれていました。
ヴォルデモートはホグワーツ在学中に、自身がゴーント家の出身であることを知ります。
そしてゴーント家に1人残っていた叔父にあたるモーフィン・ゴーントから指輪を奪うと、その足で自分を捨てた父と祖父母を殺害し、指輪を分霊箱に変えました。
ヴォルデモートは在学中は指輪を身につけていましたが、卒業後にゴーント家の廃屋に隠しています。
ただし、ヴォルデモートはこの指輪が死の秘宝の一つであったことは知りませんでした。
その数十年後、ダンブルドアがゴーント家の廃屋に隠されているところを発見し、グリフィンドールの剣を用いて破壊しました。
スリザリンのロケット

名前 | スリザリンのロケット |
犠牲者 | マグルの旅行者 |
作成年 | 不明 |
破壊者 | ロン・ウィーズリー |
「スリザリンのロケット」は、サラザール・スリザリンが残した装飾品です。
元々はサラザール・スリザリンの末裔であるゴーント家の当主であるマールヴォロ・ゴーントが所有していました。
マールヴォロがマグルを襲った罪でアズカバンに収監されると、彼の娘でヴォルデモートの母であるメローピーが家から持ち出します。
メローピーは駆け落ちした夫であるトム・リドル・シニアに捨てられると、生活に困窮して「ボージン・アンド・バークス」の店主であったカラクタカス・バークに10ガリオンという非常に安い値段で売りました。
その後、カラクタカス・バークから資産家で骨董収集家のヘプジバ・スミスという老婦人が買い取りました。
当時ボージン・アンド・バークスで働いていたヴォルデモートは、ヘプジバ・スミスにこのロケットを見せられます。
ロケットの正当な所有者は自分であると考えたヴォルデモートは、ヘプジバ・スミスを殺害してロケットを手に入れました。
ちなみにこの際、ヘプジバ・スミスに仕えていた屋敷しもべ妖精を犯人に仕立て上げています。
後にヴォルデモートはマグルの旅行者を生贄として殺害し、ロケットを分霊箱に変えました。
ヴォルデモートはロケットを自身が育った孤児院の近くにある海辺の洞窟に隠します。
様々な守りや罠を仕掛け、この守りが万全かどうか確かめるためにブラック家に使えていた屋敷しもべ妖精であるクリーチャーを連れて再度洞窟を訪れました。
守りが万全であることを確認すると、ヴォルデモートは「亡者」に襲われているクリーチャーを置いてその場を去ります。
しかし、屋敷しもべ妖精は魔法使いが「姿現し」できない場所でも移動することが可能であり、クリーチャーは洞窟から生還しました。
洞窟から帰ったクリーチャーは主人の1人であるレギュラス・ブラックに事の顛末を話し、ヴォルデモートがクリーチャーに行った仕打ちを知ると死喰い人を脱退して分霊箱を破壊することを決意します。
無事分霊箱を入手したレギュラスでしたが洞窟で力尽き、破壊はクリーチャーが任されます。
ただクリーチャーでは分霊箱を破壊することが出来ず、そのままブラック家に置かれていました。
ブラック家の最後の当主であるシリウス・ブラックが死去すると、不死鳥の騎士団であったマンダンガス・フレッチャーが盗みます。
その後、マンダンガスがダイアゴン横丁で商売していると、通りかかった魔法省の役人であるドローレス・アンブリッジに没収されました。
このことを知ったハリーたちは魔法省に侵入してアンブリッジから奪い取り、グリフィンドールの剣で破壊しました。
このロケットは蛇語を扱えるものしか開くことが出来ず、また開くとヴォルデモートの魂が自衛のために開いた者の弱みを見抜いて操ろうとしてきます。
ハッフルパフのカップ

名前 | ハッフルパフのカップ |
犠牲者 | ヘプジバ・スミス |
作成年 | 不明 |
破壊者 | ハーマイオニー・グレンジャー |
「ハッフルパフのカップ」はヘルガ・ハッフルパフが遺した品です。
ヘルガ・ハッフルパフの末裔である上記のヘプジバ・スミスが所有していましたが、スリザリンのロケットと共にヴォルデモートに奪われました。
ヴォルデモートはヘプジバ・スミスを殺害した際にハッフルパフのカップを分霊箱に変えています。
その後はベラトリックス・レストレンジによってグリンゴッツ魔法銀行内のレストレンジ家の金庫に保管されていました。
ハリーたちはベラトリックスの言動から金庫にカップがあることを見抜き、グリンゴッツ魔法銀行に侵入して手に入れます。
後にロンとハーマイオニーが、秘密の部屋にあったバジリスクの頭蓋から毒牙を抜き取った上で破壊しました。
レイブンクローの髪飾り

名前 | レイブンクローの髪飾り |
犠牲者 | アルバニアの農民 |
作成年 | 不明 |
破壊者 | ビンセント・クラップ (映画ではグレゴリー・ゴイル) |
「レイブンクローの髪飾り」はロウェナ・レイブンクローが遺した髪飾りです。
ロウェナの娘であるヘレナ・レイブンクローが、母への嫉妬から髪飾りを盗み、アルバニアの森に隠しました。
そのために数百年間髪飾りは発見されておらず、伝説だけ残っていることから「失われた髪飾り」と呼ばれています。
ヘレナ・レイブンクローは死後、レイブンクロー寮付きのゴーストである「灰色のレディ」となりました。
その後、ヴォルデモート卿が在学中にヘレナ・レイブンクローの心を掌握して髪飾りの在り処を聞き出します。
髪飾りを手に入れたヴォルデモートはアルバニアの農民を殺害して分霊箱に変えました。
後年、ヴォルデモートが「闇の魔術に対する防衛術」の教授を志願してホグワーツに訪れた際に「必要の部屋」に隠します。
ダンブルドアでさえ見つけることが出来ませんでしたが、ハリーはたまたま6年生の際に必要の部屋で髪飾りを発見していました。
ハリーがそのことを思い出して必要の部屋へ向かうと、ハリーのことを狙っていたドラコ・マルフォイ、ビンセント・クラッブ、グレゴリー・ゴイルと戦闘になり、クラッブが放った悪霊の火に焼かれて破壊されました。
ナギニ

名前 | ナギニ |
犠牲者 | バーサ・ジョーキンズ |
作成年 | 1994年 |
破壊者 | ネビル・ロングボトム |
「ナギニ」はヴォルデモートのペットである大蛇であり、ヴォルデモートが唯一愛したものでした。
6つ目の分霊箱を作成する前に一度滅びたヴォルデモートは、復活後にナギニを分霊箱にすることを思いつきます。
そこでアルバニアの森で出会った魔法省の役人であるバーサ・ジョーキンズを殺害した際に、ナギニを分霊箱に変えました。
通常、意思を持って動く動物を分霊箱にするのは危険を伴いますが、ヴォルデモートは蛇語使いであり、ナギニを強く操ることが出来たので問題がありませんでした。
ハリーたちが分霊箱を狙っていることを知ったヴォルデモートは、ナギニを魔法の檻に入れて強力に守ります。
しかしハリーの殺害に成功したと思い込み、油断からナギニへの警戒を解きました。
結果、戦いの混乱の中でグリフィンドールの剣を手にしたネビル・ロングボトムの手によってナギニは首を落とされ、破壊されています。
ハリー・ポッター

名前 | ハリー・ポッター |
犠牲者 | なし |
作成年 | 1981年 |
破壊者 | ヴォルデモート |
ヴォルデモートはナギニを分霊箱にしたことで、6つの分霊箱の作成が完了し、本体の魂を合わせて計画通り魂を7つに引き裂いたと考えていました。
ただ実はナギニを分霊箱にする前に、自身も気づかないままもう一つの分霊箱を作ってしまいます。
それがハリーでした。
予言の子であるハリーを殺害しようとした夜、赤ん坊だったハリーに「死の呪い」を放ちます。
しかし、ハリーの母リリー・ポッターの愛の護りによって、死の魔法は跳ね返されてヴォルデモートの肉体は滅びました。
この際、すでに何度も引き裂かれていたヴォルデモートの魂は非常に不安定な状態にあり、さらに赤ん坊を手にかけようとする、という非道な行為に魂は耐えられませんでした。
肉体が破壊された際、魂の一部も引き裂かれてハリーの魂に引っかかり、ヴォルデモートが意図しない7つ目の分霊箱になったのです。
ハリーが蛇語を扱えたり、ヴォルデモートと心が繋がっているのもこのせいでした。
ダンブルドアはこのことに気付いており、セブルス・スネイプに真相を告げます。
そしてスネイプが死の直前に渡した記憶によって、ハリーは初めて自身が分霊箱であることを知りました。
結果、ハリーが生きている限りヴォルデモートは死なないようなります。
一方でヴォルデモート自身も、復活の際にハリーの血を使用したことでリリーの愛の護りを取り込んでおり、ヴォルデモートが生きている限りハリーは死なないようになっていました。
つまり両者がお互いの分霊箱のような存在になっていたのです。
事の顛末を知ったハリーは、自身は死ぬ覚悟でヴォルデモートに身を差し出します。
ヴォルデモートは真相を知らずに分霊箱を破壊する品の一つである「ニワトコの杖」で「死の呪い」を放ちました。
すると、ハリーはヴォルデモートが生きているので死ぬことはなく、ハリーに引っかかっていたヴォルデモートの魂だけが破壊されます。
ヴォルデモートは知らないうちに分霊箱を作成し、そして知らないうちに自身で最後の魂を破壊したのでした。
その後、ハリーは蛇語を扱うことが出来ないようになっています。
まとめ
今回は「ハリー・ポッター」シリーズに登場する「分霊箱」について解説しました。
「分霊箱」は、他人を何とも思っていないヴォルデモートらしい闇の物品であり、彼の不死性を高めるキーアイテムです。
映画や原作でなかなか分かりづらかった方は、ぜひ本記事を読んでから再度作品を見てみてください。
それではまた!
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